第12回「広告はどのように利益を生み出しているの?」

山口さんに聞いた「お金」と「働く」こと

『山口さんに聞いた「お金」と「働く」こと』では、「働く」ことや「ビジネス」についてはじめて考えたはじめたGilrsUniversityの学生たちがもった素朴な疑問を、ビジネスのプロの山口豪志さんが答えます。

「仕事・働く」ということをもっと身近に感じられるような素敵なお話ばかり。

これを読んで、社会に出る前に知っておくべきことに関心を持っていただけたら幸いです。

第12回 「広告はどのように利益を生み出しているの?」

 現代社会に及ぼすインターネットの影響は大きくなってきています。それに伴って、ネット上で“情報”をウリにお金を稼いでいる人たちが多くいます。例えば、ブロガーやYoutuberなど、皆さんにはお馴染みの存在かと思います。

  他にも、女性向けにファッションやコスメについて紹介しているサイトや、旅行情報をまとめたサイト、料理レシピを掲載したサイトなど、情報のジャンルは様々です。きっと皆さんもよく利用するのではないでしょうか?こういったサービスは広告で売り上げを得ているそうですが、一体どのような仕組みなのでしょうか? 

     

身近にある広告収入

  皆さんが動画やサイトを見ている際にCMや、バナーが出てくることがあると思います。あれがまさに広告です。CMやバナーを出すのにもそもそもお金がかかりますが、それがクリックされるごとにお金が入ってきます。企業によっては売り上げの8~9割が広告収入なんだとか。

※バナー:ウェブページに表示される帯状の広告のこと。クリックするとその詳細のページが表示される。

                                          

例①    Youtube

 Youtubeで200万人がある動画を視聴したとします。200万人というと横浜市の人口くらいの数です。その人たちが見る動画一回一回に広告が出る。横浜市のほとんどの人が、その広告を見るわけです。

 広告に利益が発生する基準はそれぞれ異なります。クリックされたら入る、最後までCMが見られたら入る…など。しかし200万人と数が非常に大きいので、たとえクリックする人が10人に1人でも20万回分の広告収入が入ることになります。

         

 例②  LINE

 実は普段よく使うスタンプが広告なのです。よく企業とタイアップしていて、無料でスタンプをダウンロードできますよね。(私も最近あるフルーツのスタンプをダウンロードしてよく使っています。笑)

 ダウンロードにはその企業を友だち登録しなければいけなかったりします。そうすると新商品や、おすすめ商品の情報が時々流れてくるようになります。

  日本のユーザーは8000万人以上だそうです。何十万人、何百万人、何千万人もの人が見るのです。購入には繋がらずとも、多くの人に企業の名前や商品などを知ってもらうこともできるので、非常に有効な広告手段ですね。

      

例③  新聞、雑誌

 ネットだけでなく、新聞や雑誌も広告で収入を得ています。 前にも述べたように広告を掲載するにはお金がかかります。フリーペーパーは広告掲載料があるから、無料で配布することができるのです。

より多くの人に広告をクリックしてもらうために

 こうして広告で利益を生み出していますが、同じ広告を無作為に選んだ100人に出すようなやり方では何回クリックされるのか分かりません。女性向けファッションの広告を男性に出しても、きっとクリックされません。

 どうやったらより多くの人にクリックしてもらえるのでしょうか?

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 この問題を解決するべく、広告を出す対象を定められる”アドテクノロジー”という技術が開発されました。これは、インターネット広告に関連するシステムの総称です。

 検索したワードや見たページ、個人ブログなどの閲覧履歴がブラウザに残るようになり、見る人にとって有益な広告を出すことができるようになりました。こうして履歴などから興味関心を分析して出す広告を、ターゲティング広告といいます。

                                                   あ          

・Amazonでは

  Amazonだったら、誰がいつどの商品を買ったか等が全部分かるようになっています。他のユーザーがよく一緒に買う商品が分かるのも、自分に合ったおすすめ商品が表示されるのもこの仕組みがあるからなのです。

      

・Facebookでは

 Facebookだったら、年齢や位置情報、ライフイベント、興味関心などの個人情報が分かるようになっています。そのため、より細かいターゲティングができます。その人に向けて有益な広告を出せるだけでなく、情報を集めて傾向を分析することもできます。

 例えば、分析によって20代前半の女性はタピオカをよく飲んでいると分かれば、その層に向けて重点的にタピオカの新商品の広告を表示するようにできます。

 他にも、位置情報によってそこに応じた広告が出されるようになります。海外で見ると海外の広告が出るようになります。

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 このように、アドテクノロジーによりネット広告は非常に効率良く情報発信し、利益を生み出すことができるようになったのです。ネット社会となった現代、広告収入は非常に大きな利益を生み出します。この仕組みを学んでおけば、もしかしたら将来役に立つかもしれませんね!

      

          

今回の1問1答!

事業家の山口さんと女子大生のGUメンバーが一問一答形式で「働く」ことに関する疑問を解決!

【今回のトピック】
■同業者間の競争で優位に立つために企業は何をしているのでしょうか?
■「給料が高い=儲かっている」のでしょうか?
■労働の大変さと給料が比例しないのはなぜですか?

    

■同業者間の競争で優位に立つために企業は何をしているのでしょうか?

  優位に立つには、会社の強みを伸ばすことが一番重要になります。強みを理解できている会社が強いですね。それが分からない会社はつぶれていってしまいます。例えば、Amazonは非常に多くの多様な商品を扱っている点が強みです。

 配送業なら、より正確に早く配送する。声優なら上手くしゃべる(演技する)。エンジニアが声優みたいに上手くしゃべれても、強みを伸ばしているとは言えないですよね。

      

■「給料が高い=儲かっている」のでしょうか?

 そうです。逆に「低賃金=儲かっていない」というのは必ずしも成り立つわけではありません。 給料が低いけど、先々の投資が必要であったり、別のものに投資していたり。なので給料が高いことと儲けていることはニアリーイコールですね。

   

■労働の大変さと給料が比例しないのはなぜですか?

 数の理論です。自給500円の仕事と5万円の仕事、あなたならどちらを選びますか?きっと5万円の方だと思います。このような、他よりも楽により多く稼げる仕事は先に埋まっていきます。例えば、大変な試験を突破して資格を取得してようやくなることができる弁護士や医者です。

 介護士や保育士は、前出の二つよりは取りやすい資格です。こういった、“なれる人が多い仕事”の時給は上げにくいのです。なぜでしょう?

 例えば、園長さんが自給2000円で5人の保育士さんを募集したら100人もの応募がありました。多すぎて選ぶのが大変なので、1500円に下げたところ、50人になりました。それでも多いので、1000円にしたら10人になりました。

 逆に医者はどうでしょう。例えば、山奥の小さな病院の医者を求めています。年収1500万円で募集したところ誰も来ませんでした。2000万円に年収を上げたら1人来ました。

 このように希少性が高い、やる人が少ない仕事は価値が上がるから値段も上がるのです。オークションなんかはそうですよね。レアなものは値段がどんどん上がっていく。だからいくらその仕事が大変でも、やる人の数が相対的に多ければ給料は上がりにくいのです。

     

アンドウのホンネ(編集後記)

 今回は広告が利益を生み出す仕組みについて山口さんに教えていただきました。ネット社会となり、今やYoutuberが新しい職業としてでき、トップのクリエイターはものすごい額を稼いでいます。広告で稼いでいるのはなんとなく知っていましたが、どうして数千万、数億ものお金を稼ぐことができるのか疑問に思っていました。

 今回の山口さんのお話で、非常に効率よく広告が出されていることと、見る人の数の多さを知り、お金を稼ぐ仕組みに納得しました。特にLINEスタンプそのものが広告だというのには驚きました。私が普段からポンポン押しているあれが広告で、自分がそれを認知するだけでなく知らないうちに他の人に広めていたとは…!賢い方法だな、と感動してしまいました。経済は私が思うよりももっと効率的に、上手く回っていたのでした。

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今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

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