第1回テーマ 「なぜ世の中には給料が高い企業と低い企業が存在するの?」

山口さんに聞いた「お金」と「働く」こと
『山口さんに聞いた「お金」と「働く」こと』では、「働く」ことや「ビジネス」についてはじめて考えたはじめたGilrsUniversityの学生たちががもった素朴な疑問を、ビジネスのプロの山口豪志さんが答えます.

「仕事・働く」ということをもっと身近に感じれるような素敵なお話ばかり。

これを読んで、社会に出る前に知っておくべきことに関心を持っていただけたら幸いです。

第1回テーマ
「なぜ世の中には給料が高い企業と低い企業が存在するの?」

記念すべき第1回目のテーマは、「なぜ世の中には給料が高い企業と低い企業が存在するの?」です。
この問いに対し、山口さんは、「給料が高い企業とそうでない企業の差は、ビジネスモデルから生まれる。」ときっぱり。

(※ビジネスモデルとは、企業が利益を生むための仕組みを指します。企業の戦略によって商材が有形か無形か、販路がオフラインかオンラインか等の違いが生まれます。)

ここからは、うどん屋さんと銀行を例にして詳しく解説していきます!

 

うどん屋と銀行のビジネスモデルの違い

まずは、うどん屋さん。
例えば、うどん屋さんのビジネスモデルでは、1杯400円でうどんを提供するとします。麺の原価が1玉約40円だとした場合、それに加えて材料費や店舗の固定費などを重ねれば、1杯あたり利益として残る金額は、約50~100円です。

また、うどん屋さんを経営する上で、新作のレシピを開発する必要性もあれば、アルバイトや社員など、雇用する人材を継続的に確保するための「チームマネジメント」も欠かせません。

給料(人件費)は、こうした費用を収益から差し引いて出た利益によって決まります。
うどん屋さんは、費用として差し引かれる割合が高く、収益性が高くないビジネスモデルと言えるでしょう。

一方、銀行はどうでしょうか。

銀行のビジネスモデルは、個人・法人(=会社)の口座開設や、投資(リターンを期待して支出する)・融資(お金を貸す)、経営や事業のコンサルティング、*M&Aの仲介など様々な業務によって構成されています。

*M&Aの仲介:事業を買いたい会社と、事業を売りたい会社を繋ぎ、その買収金額の〜%を手数料としてもらう業務

例えば、銀行が、「M&Aの仲介をする」という設定で考えてみます。M&Aが成立した場合に銀行が成果報酬として譲渡価格の3%を得るとしましょう。

この場合10億円で事業売却の契約が成立した場合、銀行は3,000万円の経常収益(≒売上)を得ることができます。

このビジネスモデルでは、うどん屋さんを経営するために必要だった原価(材料費)、固定費などの費用が発生しにくいですよね。そのため、収益性が高くなるのです。

このように、一度に大きくリターンを得ることができるビジネスモデルとそうでないビジネスモデルが世の中には存在するのです。

したがって、今回のテーマである「給料が高いか低いか」はこうしたビジネスモデルの違いによる収益性の差が生み出している、ということになります。

※この図では、銀行の売上に原価が発生しないことを印象付けるためにこのように表記している。実際の銀行の利益構造においては、経常収益の内訳として経常費用(資金調達費用や固定費など)と「経常利益」(収益から費用を引いた利益)がある。


補足


銀行と似たビジネスモデルに「代理業」があります。
例えば、就活生にも人気な広告代理店は、広告を出したい企業と、広告を掲載する媒体としてのメディアを繋ぐ、というビジネスです。

さらに、M&Aを行う会社は、ある特定のニーズに合わせて企業と企業を仲介・マッチングする、という価値で売上を得ています。

このように、代理業はアドバリューな(=商品以外の付加価値)営業を提供して、対価を得るビジネスモデルです。
人件費以外の費用はさほどかからず、手数料や仲介料で儲けるため、収益性の安定性が高いビジネスなのですね。

今週の一問一答!


事業家の山口さんと女子大生のGUメンバーが一問一答形式で「働く」ことに関する疑問を解決!

◆「仕事ができる」ってどういうこと?
-そもそも「仕事をする」の定義は2つあります。
1つめは「自分でやる」、2つめは「人に頼む」です。
これを踏まえた上で、「仕事ができる」とは、①技術,能力が高いスペシャリストであること、②マネジメントに長け、良い人間関係を築けることです。特に①のスキルが高い人は技術職、②のスキルが高い人は中間管理職としての役割が向いています。

◆大企業の社長は何をするの?
-自分が居なくなった後も組織(会社)の経営が回るように中長期的な目標を立てたり、
責任を取る役割を担っています。

◆「メーカーのマーケティング職」が花形と呼ばれるのはナゼ?
-一番わかりやすく、人に伝えやすい職業だからですね。例えば、「ガッキーがCMで宣伝してるお菓子を作っている」と言うと、人に伝わりやすいですよね。
職業というのは、社会との接点が多いほど知らせやすいのです。

 

オカネのホンネ(編集後記)

今回は、企業の儲けに差が出るのはなぜだろうという素朴な疑問について、ビジネスモデルを糸口に解説していただきました。

みなさんは、納得しましたか?
私は、不思議に感じました。ビジネスモデルから生まれる利益構造の違いは明確なのに、世の中は銀行ばっかり、というわけではないからです。

うどん屋さんだって、人々のお腹を満たしてくれるし、大切な職業なはず。多様な職業が存在し続けているのは、何か理由があるからです。

山口さんにお聞きしたところ、「ビジネスの目的が大きな違い。うどん屋さんは、金融よりもお客さんの層は広くて単価が安いビジネスで、環境を問わずニーズが存在する。一方で銀行は、お金持ちの資産運用によって市場を活性化したり、お金を求めるヒトとマッチングする。M&Aとかの仕事は特段不要で常時は必要ないよね。」

…なるほど。適材適所でそれぞれの職業が社会を支えているんだな〜!と納得しました!
「はたらく」とか「お金」はまだまだ興味深いです。

次回もお楽しみに!

また、一緒にこの記事企画を盛り上げてくださるメンバーを募集しています!