第8回「社畜」とは何ですか?

山口さんに聞いた「お金」と「働く」こと

『山口さんに聞いた「お金」と「働く」こと』では、「働く」ことや「ビジネス」についてはじめて考えたはじめたGilrsUniversityの学生たちがもった素朴な疑問を、ビジネスのプロの山口豪志さんが答えます。

「仕事・働く」ということをもっと身近に感じれるような素敵なお話ばかり。

これを読んで、社会に出る前に知っておくべきことに関心を持っていただけたら幸いです。

第8回テーマ
「社畜」とは何ですか?

今回のテーマは”社畜”についてです。
私が「社畜(しゃちく)」という言葉を知ったのは大学1年生の時です。塾講師のアルバイトをしていた知り合いが、自分のことを「社畜」と表現していて、初めてその言葉を耳にしました。大学3年になった今、社畜という言葉は、大人の間でよく使われているのだとわかってきました。中でも真面目で一生懸命何かに取り組む人ほど、自虐を交えながら社畜というワードを使うような印象があります。日本人は、組織に対して献身的な姿勢や帰属意識を強く持つ傾向にあるといわれていますが…。社畜という響きがなんとなく気になっていたので、山口さんにお聞きしてみました!

 

家畜とペット、どっちになりたい?

簡単に言うと、社畜というものは家畜と同じように考えるとイメージがわくかと思います。

家畜のヤギやブタは、いずれ人に食べられてしまいます。同じ動物であっても、ペットは飼い主の愛情を注がれながらある程度は自由に育ちますが、家畜はそのような待遇ではありません。 

社畜も同じように、会社のために役務を提供するものの報われず、という関係でしょう。本人は健気に会社に尽くすけれども、何か問題が起こった時や、結婚・育児・介護などライフイベントが重なった時に、会社から大事にケアされることはありません。

会社と社員の間でギブアンドテイクが成立してると良い関係と言えますが、会社に依存的になったり、他責になると会社に必要とされる人材とは言えませんね。

 

就活はRPG!?

サークルやバイトを楽しむ学生も、就活真っ最中の学生であっても、これから社会人になっても、忘れないでほしいことがあります。それは、「外からの刺激は自分でコントロールできる」ということです。

山口さんは、就活を「RPG(=ロールプレイングゲーム)」と表現します。ゲームのはじめに登場人物を選べるように、「自分はこの役割をやりたいです」「この仕事をやってみたいです」と会社に対して手を挙げるプロセスが就活なのです。

ただし、ゲームも就活もすべてのストーリーが思い通りに進むわけではありません。経験したことがある人もいると思いますが、仕事をする上で自己主張やオリジナリティを出して良い環境と、そうでない環境があるのは知っておきましょう。

※「社畜」という言葉は会社愛のある人が”自虐”として使っている場合もあるので、一概に会社の実情を表しているかは別、ということも念のため知っておきましょう。 山口さんもランサーズに勤務時代、働きっぷりを見た奥さんに「社畜」と言われていたそうです(小声)。

 

今週の1問1答!

 事業家の山口さんと女子大生のGUメンバーが一問一答形式で「働く」ことに関する疑問を解決!

【トピック】
□株式の購入について
□就活は要領の良い人が有利⁉
□公務員と会社員の違いとは

 

■株を買ってみたいのですが、何から情報を得るのが良いでしょうか。
日経新聞をおすすめします。日経新聞には定性的に経済や企業に関する情報が載っているので良いと思います。(言い換えれば、日経新聞は人々の株価に対する関心が高まると、購読者数;売上が増えるでしょう。)

定量的な情報を入手したい場合は、日経平均や企業のIR(=Investor Relations;投資家や株主に開示している会社情報)を見ると良いですね。日経平均はYahooファイナンス等から検索して確認できます。

ただし、「何を目的として株の保有をしているか」を必ず考えて無理のない範囲でやりましょう。資産運用の一環で株を買うのか、小銭稼ぎでやりたいのか、経営に物申したくて投資するのか、株を持つ目的を考えることをお忘れなく。上場企業とそうでない企業では、投資の仕方も全く違うので、それはそれで詐欺などにあわないよう気を付けましょう。

 

■就活は、要領の良い器用な人が有利なのですか?
要領の良い人が欲しい会社は、選考を通じてそのような人を中心に採用するでしょう。ですが、世の中の企業すべてがそういうわけではありません。採用において、研究職に人材が欲しい会社は、学生が卒論で何を書いたか、学生時代に何を研究していたかに着目するでしょうし、事務処理のできる人を募集する会社は、真面目で几帳面な人を採用したいと考えるでしょう。

就活の選考を通じて、企業は学生一人ひとりの性格や適性がわかるのです。例えば面接の事前準備を丁寧にしてくる学生は、バックオフィスに向いているでしょうし、商談の度にお客さんの心を掴まなければならない営業には、面接で機転の良さを発揮する学生が適しているかもしれません 。ですので、一概に就活に有利な人の定義があるわけではありません。会社によって採用基準は様々です。

 

■公務員と会社員の違いを教えてください。
【職業上の属性と存在意義】
そもそも2つの機関は、存在意義や目的が全く別です。まず、「国家機関」に就職するか、「民間機関」に就職するかという部分が大きく異なります。国家機関は国家の存続を目的にしていますが、民間機関は会社の繁栄を目指しています。

【行動規範】
入社するにあたり、会社員はエントリーにあたりコネが許される一方、公務員は一律の要件(国家試験の合格)を満たす必要がある、といった違いがあります。職員・社員になるための資格の有無も異なりますね。

また、それぞれの機関の目的が公益と利潤追求と違いがあるため、公務員は公人としての行動規範が法律で定められていますが、会社員は会社それぞれのルールに従います。というのも、公的機関と民間機関では、組織として目を向けなければならない範囲の広さに差があるからです。

国家は、個々人が幸せかどうかを問題とするのではなく、公共の利益を追求し、団体主義の考え方をしています。しかし、企業は、特定のニーズに応える利己的なサービスを追求し、個人主義に基づく経済活動をしています。

 

~調べてみよう!~

みなさんは、日本という国家の歳入と民間企業の売上高、どちらが大きいと思いますか?戦後から現在にかけて、パワーバランスの移り変わりや、その過程・原因について調べてみましょう!

(※日本企業の売上高が、ある国の歳入より大きい、という事実も実際にあります。)

 

オカネのホンネ(編集後記)

今回は、ずっと自分の中で引っかかっていた「社畜」という言葉についてお聞きしました!「就活=RPG」という表現からわかるように、自発的に意思決定・キャラクター設定、武器(強み)のカスタマイズをしなければ、簡単に敵に倒されてしまいます。ゲームに楽しさがなければ退屈に感じるように、自分の人生でもワクワクする機会がなければいずれ飽きてしまうと思います。

私は大学3年間を過ごしてみて、学生生活の価値を”人生の準備期間”として捉える必要性にだんだん気づくようになりました。

働くことは「お金を稼ぐため」ということは周知の事実であっても、どんな仕事をすればお金は稼げるのか?、どうやったら効率的に稼げるのか?、市場のニーズを知るためには何から調査すればよいのか?など、実際に仕事をする上で求められることは、全くの無知だ!と気づきました。その知恵は、受験や日常生活と同じで、事前に誰かからすべてを教えてもらえるわけではありませんでした。

学生生活は、教育機関にお金を支払って過ごしますが、社会人になればお金をいただく活動が中心になり、必要とされる振る舞いや評価される基準も自ずと変化していくのだと思います。

この事実を恐れずに、どこでどう過ごすか、自分で主体的に選べる人生が良いなと私は思っています。将来の自分も、今の自分と地続きなので、今しかできない活動や決断を一つ一つ大切にしていきたいです!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

次回もお楽しみに!